株式会社健康保険医療情報総合研究所

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令和4年度から開始!外来機能報告等について知りたいポイント(第3回/全4回)
~「地域の協議の場」では何をするのか?

COLUMN

2022.08.23

外来機能の明確化・連携の推進に関するコラムの3回目です!
令和4年度から始まった外来機能報告ですが、外来機能報告の内容を踏まえ「地域の協議の場」において外来機能の明確化・連携に向けて必要な協議を行うとされています。
外来機能報告については1回目2回目でご紹介しましたが、「地域の協議の場」とは一体何をするのでしょうか?今回は「地域の協議の場」について紹介します。

1.「地域の協議の場」では何を話すの?


地域の協議の場の議題としては、以下の通りです。
・紹介受診重点医療機関の取りまとめに向けた協議
・外来機能の明確化・連携に向けた協議

令和4年度については、外来機能報告等の施行初年度にあたるので、紹介受診重点医療機関の明確化に資する協議を中心に行うよう、「外来機能報告等に関するガイドライン」中にも記されています。

出典:厚生労働省 令和3年度版 外来機能報告制度について

2.「地域の協議の場」には誰が参加するの?


地域の協議の場とは、地域医療構想の構想区域等の単位で、都道府県が設置する議会のことです。参加者は、郡市区の医師会等、地域における学識経験者、代表性を考慮した病院・有床診療所の管理者、医療保険者、市区町村とされています。そして、これらの参加者に加え、紹介受診重点医療機関の取りまとめに向けた協議を行う場合、以下の医療機関の代表者の出席を求め、意見を聴取することとされています。
・「紹介受診重点医療機関」の医療資源を重点的に活用する外来に関する基準に 
  該当するものの、外来機能報告において「紹介受診重点医療機関」としての 
  役割を担う意向を有しない医療機関
・「紹介受診重点医療機関」の医療資源を重点的に活用する外来に関する基準に
  該当しないものの、外来機能報告において「紹介受診重点医療機関」として
  の役割を担う意向を有する医療機関
都道府県は、あくまでも地域の協議の場がその目的を十分に果たすため、議論が活発化するよう意見交換を重視する運営をすることが望ましいとされています。

また、地域の協議の場における外来機能の明確化・連携に向けた協議を行う場合、協議をより効果的・効率的に進める観点から、都道府県は議事等に応じて追加的に参加を求める関係者を選定するなど柔軟に協議の場を運営することが求められています。

3.「地域の協議の場」での協議の進め方


外来医療において、医療資源や医療ニーズは地域によって異なります。そのため、紹介受診医療機関の取りまとめをする際は、医療機関の特性や地域性を考慮する必要があります。
そこで、協議を進めるにあたっては以下の3点を踏まえて進めるようガイドラインに示されています。
①医療資源を重点的に活用する外来に関する基準や紹介率及び逆紹介率
②紹介受診重点医療機関の役割を担う意向の有無
③医療資源を重点的に活用する外来に関する基準と医療機関の意向の不一致

それぞれ詳細を見ていきましょう。
①医療資源を重点的に活用する外来に関する基準や紹介率及び逆紹介率
紹介受診重点医療機関の協議については、外来機能報告から整理された、医療機関ごとの紹介受診重点医療機関となる意向の有無、医療資源を重点的に活用する外来に関する基準の適合状況、外来医療の実施状況、紹介・逆紹介の状況等を踏まえて議論するようになっています。
なお、医療資源を重点的に活用する外来に関する基準の具体的な水準は下記の通りです。
>初診基準(初診の外来件数のうち「重点外来」の件数の占める割合):40%以上かつ、
>再診基準(再診の外来件数のうち「重点外来」の件数の占める割合):25%以上

また、紹介・逆紹介の状況として参考にする紹介率および逆紹介率は、地域医療支援病院の定義を用いることとし、紹介率50%以上かつ逆紹介率40%以上が基準とされています。

②紹介受診重点医療機関の役割を担う意向の有無
医療資源を重点的に活用する外来に関する基準を満たした医療機関であって、紹介受診重点医療機関の役割を担う意向を有する場合は、特別な事情がない限り、紹介受診重点医療機関になることが想定される、となっています。

つまり、基準を満たしており、かつ紹介受診重点医療機関になる意向があれば、紹介受診重点医療機関になることがほぼ決定されると解釈ができます。

③医療資源を重点的に活用する外来に関する基準と医療機関の意向の不一致
医療資源を重点的に活用する外来に関する基準と医療機関の意向が合致しない医療機関については、当該地域の地域性や当該医療機関の特性等を考慮して議論を行うとされています。

つまり、医療資源を重点的に活用する外来に関する基準を参考にし、当該医療機関の意向に基づき、地域の協議の場で確認することにより地域の実情を踏まえる仕組みにしていく必要があるのです。
そして、医療機関の意向と地域の協議の場での結論が最終的に一致している場合に限り、紹介受診重点医療機関として都道府県から公表されます。

このように、「地域の協議の場」において外来機能報告は紹介受診重点医療機関を決定する重要な材料になるのです。
今回は外来機能の明確化・連携に向けて必要な協議を行う「地域の協議の場」についてご紹介しました。次回は、これまで何度も単語として出てきている「紹介受診重点医療機関」について詳しく説明します!


連載コラム「外来機能報告等について知りたいポイント」
第1回 外来機能報告とは? 一体何のため?
第2回 外来機能報告の項目とは? 何を報告するの?
第3回 「地域の協議の場」では何をするのか? ←本コラム
第4回 紹介受診重点医療機関になると何が変わるのか?