株式会社健康保険医療情報総合研究所

Planning, Review and Research Institute for Social insurance and Medical program (abbr. PRRISM)

NEWS 
& COLUMNS

コラム

令和4年度から開始!外来機能報告等について知りたいポイント(第1回/全4回)
~外来機能報告とは? 一体何のため?

COLUMN

2022.08.23

令和4年度から、「外来診療データ」「紹介受診重点病院・診療所になる意向の有無」などを都道府県に年1回報告すること義務付けるという「外来機能報告制度」が始まりました。医療機関にお勤めの方であれば、この言葉を聞いた方も多いのではないでしょうか?一体何のために、どんな施設が、いつ、何を報告する制度なのでしょうか? 本コラムシリーズではこれから4回に分けて、外来機能報告制度の目的や内容などについてご紹介します!

1.外来機能報告の背景や目的は?


令和3年5月、地域の医療機関の外来機能の明確化・連携に向けてデータに基づく議論を地域で進めるために、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が成立・公布されました。
この法律により、議論を進めるための流れは下記の通りになりました。


①報告の対象となる医療機関は、都道府県に外来医療の実施状況を報告
 (外来機能報告)する
②都道府県は、地域の協議の場を設けて、①の外来機能報告を踏まえ、外来
 機能の明確化・連携に向けて必要な協議を行い、結果を取りまとめ、公表する

外来医療における病院及び診療所の機能の分化・連携の推進を目的として、地域における協議の促進や患者にとっての分かりやすさの観点から、「医療資源を重点的に活用する外来」を地域で基幹的に担う医療機関(紹介受診重点医療機関)を明確化することが目指されています。
かかりつけ医をまず受診し、そこから高機能の病院外来を紹介してもらうという患者の流れを形作ることで、外来患者の待ち時間の短縮や、病院勤務医の負担軽減、外来医療の質および効率性等の向上を目指す仕組みといえます。

出典:厚生労働省 令和3年度版 外来機能報告制度について



2.対象となる施設は? いつから始まるの?


令和4年3月に通知された「外来機能報告ガイドライン」によると、対象となる施設は次のように定められています。
“病床機能報告対象病院等であって外来医療を提供するものの管理者である。病床機能報告対象病院等とは、病院又は診療所であって療養病床又は一般病床を有するものである。また、患者を入院させるための施設を有しない診療所(以下「無床診療所」という。)の管理者も、外来機能報告を行うことができる。”
つまり、病床機能報告の報告対象となっている病院および有床診療所は外来機能報告が義務化され、外来機能報告を行う意向がある診療所は任意の報告対象となります。

スケジュールについては、病床機能報告と一体的に行うこととなっており、詳細は下記の通りです。

出典:厚生労働省 令和3年度版 外来機能報告制度について

外来機能報告では、医療機関の負担軽減のためNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)のデータが9月頃に各医療機関に提供される予定です。そのうえで、NDBで把握できないものも報告をする必要があるとされています。実際に、医療機関が報告を行うのは10月~11月頃です。
令和4年度については外来機能報告のデータをもとに、原則として令和5年3月までに、各都道府県において紹介受診重点医療機関を公表することとなっています。

今回は、外来機能報告の概要や目的、スケジュールについてご紹介しました。
次回は、報告項目についてご紹介します!


連載コラム「外来機能報告等について知りたいポイント」
第1回 外来機能報告とは? 一体何のため? ←本コラム
第2回 外来機能報告の項目とは? 何を報告するの?
第3回 「地域の協議の場」では何をするのか?
第4回 紹介受診重点医療機関になると何が変わるのか?