株式会社健康保険医療情報総合研究所

Planning, Review and Research Institute for Social insurance and Medical program (abbr. PRRISM)

NEWS 
& COLUMNS

コラム

令和4年度から開始!外来機能報告等について知りたいポイント(第2回/全4回)
~外来機能報告の項目とは? 何を報告するの?

COLUMN

2022.08.23

令和4年度から始まった「外来機能報告制度」についての2回目のコラムです。
前回は、外来機能報告の概要や目的、スケジュールについてご紹介しました。今回は外来機能報告の報告内容についてご紹介します!

外来機能報告の報告内容は、大きく分けて次の3つあります。
1. 医療資源を重点的に活用する外来の実施状況
2. 医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関
    (紹介受診重点医療外来)となる意向の有無
3. 地域の協議の場における外来機能の明確化・連携に向けた協議に資するもの

それぞれ、詳細を見ていきましょう。

1.医療資源を重点的に活用する外来の実施状況


この項目では、「医療資源を重点的に活用する外来」の機能に着目して、紹介患者への外来を基本とする医療機関である紹介受診重点医療機関を明確化することを目的としています。

「医療資源を重点的に活用する外来」には下表のとおり①~③の類型があります。なお、それぞれは「かつ」ではなく「または」で繋がり、いずれかに該当すれば「医療資源を重点的に活用する外来」に当てはまります。


類型ごとの定義を順にご紹介します。
① 「医療資源を重点的に活用する入院」の前後の外来
次のいずれかに該当する入院を「医療資源を重点的に活用する入院」とし、
その前後30日間の外来を「医療資源を重点的に活用する入院」の前後の外来
として、その患者延べ数を報告します。
  ・Kコード(手術)を算定
  ・Jコード(処置)のうちDPC入院で出来高算定できるもの 
   ※1,000点以上のもの
  ・Lコード(麻酔)を算定 
  ・DPC算定病床の入院料区分
  ・短期滞在手術等基本料2、3を算定
つまり、急性期治療のための入院前後の外来が「医療資源を重点的に活用する外来」の1つ目の考え方です。がんの手術のために入院する患者が、術前の説明・検査または術後のフォローアップを外来で受ける場合などが例に挙げられます。

② 高額等の医療機器・設備を必要とする外来
続いて、次のいずれかに該当する外来を「高額等の医療機器・設備を必要と
する外来」として、その患者延べ数を報告します。

 ・外来化学療法加算を算定
 ・外来放射線治療加算を算定
 ・短期滞在手術等基本料1を算定
 ・Dコード(検査)、Eコード(画像診断)、Jコード(処置)のうち地域包
  括診療料において包括範囲外とされているものを算定 ※ 脳誘発電位
  検査、CT撮影等、550点以上のもの
 ・Kコード(手術)を算定
 ・Nコード(病理)を算定

③ 特定の領域に特化した機能を有する外来(紹介患者に対する外来等)
以下に該当する外来を、「特定の領域に特化した機能を有する外来」を受診したものとして、その患者延べ数を報告します。
 ・診療情報提供料Ⅰを算定した30日以内に別の医療機関を受診した場合、
  当該「別の医療機関」の外来

これらの項目を一覧表にして報告するイメージが現在検討されています。

出典:令和3年7月28日 外来機能報告等に関するWG

2.医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関 (紹介受診重点医療外来)となる意向の有無

2つ目の項目は、紹介受診重点医療機関になる意向があるか否かです。紹介受診重点医療機関になるには、地域の意向だけではなく、当該医療施設の意向が尊重されます。例えば、紹介受診重点医療機関の基準を満たしていても、当該医療機関が紹介受診重点医療機関になる意向がなければ無理強いさせることはできません。医療機関の意向についても外来機能報告の項目となっているのです。

3.地域の協議の場における外来機能の明確化・連携に向けた協議に資するもの


3つ目としては地域の協議の場における外来機能の明確化・連携に向けた協議に資するものについてです。
紹介受診重点医療機関の取りまとめに加えて、紹介元・逆紹介先となる地域の「かかりつけ医機能を担う医療機関」など、地域の外来機能の明確化・連携の推進のために必要な項目について各都道府県は報告を受け、データに基づく議論を行うために、協議の場が設けられています。

項目としては下記①~⑤の5つです。
①その他の外来・在宅医療・地域医療の実施状況
   ・地域の外来機能の明確化・連携の推進のために必要な外来・在宅医療
    ・地域連携の実施状況を報告
②救急医療の実施状況
   ・休日に受診した患者延べ数、夜間・時間外に受診した患者延べ数、
    救急車の受け入れ件数を報告
③紹介・逆紹介の状況(紹介率・逆紹介率)
   ・紹介率・逆紹介率を報告(初診患者数、紹介患者数、逆紹介患者数)
④外来における人材の配置状況
   ・医師について、施設全体の職員数を報告
   ・看護師、専門看護師・認定看護師・特定行為研修修了看護師、
    准看護師、看護補助者、助産師、理学療法士、作業療法士、
    言語聴覚士、薬剤師、臨床工学技士、管理栄養士について、外来部門
    の職員数を報告
⑤高額等の医療機器・設備の保有状況
   ・マルチスライスCT(64列以上、16列~64列、16列未満)、その他
    のCT、MRI
    (3テスラ以上、1.5~3テスラ未満、1.5テスラ未満)、血管連続撮影
    装置(DSA法を行う装置)、SPECT、PET、PETCT、PETMRI、
    ガンマナイフ、サイバーナイフ、強度変調放射線治療器、遠隔操作式密
    封小線源治療装置、内視鏡手術用支援機器(ダヴィンチ)の台数を報告

下の図は、報告表のイメージです。

出典:令和3年7月28日 外来機能報告等に関するWG

NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)で把握できる項目から、地域の外来機能の明確化・連携の推進のために必要な外来・在宅医療・地域連携の実施状況について医療機関から都道府県に報告します。また、NDBで把握できない項目のうち病床機能報告と重複しているものについては省略可能とされています。

これまで入院における機能分化は議論されていましたが、外来機能報告が始まることにより、外来も役割分担の明確化が期待されます。
各医療機関は、早い段階で外来機能報告の集計方法についても検討するのが良いかもしれません。

次回は、地域の協議の場についてご紹介します!


連載コラム「外来機能報告等について知りたいポイント」
第1回 外来機能報告とは? 一体何のため?
第2回 外来機能報告の項目とは? 何を報告するの? ←本コラム
第3回 「地域の協議の場」では何をするのか?
第4回 紹介受診重点医療機関になると何が変わるのか?