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病院経営における薬剤師の役割とは?

COLUMN

2020.09.30

薬剤師は医薬品の専門家としてなくてはならない存在です。

薬物治療において、副作用や相互作用のチェック、薬物動態のモニタリングなど、適正な薬剤の使用に対する薬剤師の貢献は大きいと言えます。

一方で、薬剤師は病院経営に対してどのような役割を持てるでしょうか?
調剤薬局で働く薬剤師と比較しながら解説します。

病院薬剤師と薬局薬剤師の違い

薬剤師は、医薬品の供給や公衆衛生の向上から国民の健康な生活を確保する役割があります。医薬分業により病院薬剤師と薬局薬剤師の役割が明確化されつつあり、それに伴い業務内容も変化しています。その変化に順応していくことが求められています。

病院薬剤師は主として病院内の患者、薬局薬剤師は幅広い地域の患者に対応することになります。双方とも医薬品に対するスペシャリストであるうえで、病院薬剤師は特に急性疾患や専門治療、薬局薬剤師は特に慢性疾患や在宅医療について精通していることが求められます。

病院薬剤師の病院経営への貢献

病院経営における収益のうち、その大部分を診療報酬が占めますが、薬剤師は診療報酬上の加算や指導料で病院の収益に貢献することができます。そのためまずは、算定可能な加算や指導料を漏れなく算定することが大切です。加えて、薬剤管理者として薬剤の採用品目数を含む適正管理による費用削減や、後発医薬品やバイオ後続品の採用評価という点でも病院の利益に貢献できます。

病院薬剤師が病院経営に対して果たす役割は大まかに分けて2つあります。

1つ目は主に薬物治療の担当者としての役割です。薬剤師が関与することで算定できる加算や指導料は、着実に算定することが重要です。具体的には、チーム医療として病棟業務への参画、がんなどに対して薬剤師の専門性を発揮することが挙げられます。

また、薬剤師による薬物治療の質向上は、患者確保や病院の評判に寄与し、患者数増加ひいては収益の向上につながります。特に病棟業務ではTDMや相互作用など、薬剤の専門家である薬剤師が介入することで治療効果向上、有害事象の防止が期待されます。

業務に従事した年数や経験により、がんや感染症に対する専門性が問われてきます。専門分野において、判断が信頼される高度な薬剤師となるために研鑽を続けることが大事です。

2つ目は薬剤管理者・供給者としての役割です。薬剤師の腕の見せ所としてまずは、在庫適正化が挙げられます。適正化には薬剤購入コントロールが重要で、過剰購入は期限切れによる廃棄につながります。また、令和2年現在、薬価改定が毎年度で行われる予定となっており、年度末の在庫調整は非常に重要です。薬価改定で薬価が下がると、前年度購入した薬剤の価値が下がるためです。

特に抗がん剤など高額薬剤は薬価引き下げの影響度が大きいため、在庫担当者は年度が替わる3月の在庫には特に気を配る必要があります。また同時に、医薬品の欠品を起こさないことも重要であり、在庫担当者は「十分な医薬品在庫の確保」と「廃棄・価格ロスの防止」のバランス感覚が必要となります。

その他、今後は院内フォーミュラリーの作成が求められると考えます。

フォーミュラリーとは、「医療機関等において医学的妥当性や経済性等を踏まえて作成された医薬品の使用方針注1」と定義されます。フォーミュラリーの作成には薬剤師がガイドラインや文献等をもとに医薬品を評価し、EBM(根拠に基づく医療)に沿い、かつ経済性に優れた薬剤の採用を提案することが求められます。薬剤の知識を生かし、より合理的な医療を目指すために積極的に介入することが、薬剤師の重要な職務となるでしょう。

(注1 令和元年6月26日 厚生労働省 「医薬品の効率的かつ有効・安全な使用について」より)

薬局薬剤師の病院経営への影響

病院の外側にいる薬局薬剤師にはどのような役割が求められるでしょうか?

地域医療を支えるためには、病院と薬局の連携が不可欠です。特に病院の門前薬局(注:病院に近接し、その病院の処方箋を主に応需する薬局)では、薬学的に専門性が高く取り扱いが難しいため高度薬学管理が求められるがんやHIV治療に対する病薬連携やポリファーマシーに対する病薬連携が求められます。

また、クリニック前では、慢性疾患や在宅医療への参画が求められます。特に地域包括ケアシステムの一員としてニーズが高まっている在宅医療へは積極的に取り組む必要があり、薬剤師の職能を発揮したいところです。特に往診同行によって薬剤の選択や減薬提案に寄与することは非常に重要な仕事です。

病院と薬局の連携(連携充実加算と特定薬剤管理指導加算2)

令和2年度診療報酬改定では、外来がん治療に対し、病院と薬局が連携することにより取得できる加算が新設されました。

加算の施設基準を満たすことで、病院は連携充実加算、薬局は特定薬剤管理指導加算2を取得可能です。加算の施設基準に共通する項目として、レジメンの共有、抗悪性腫瘍剤の化学療法に対する研修会への参加(病院が研修会開催)が挙げられます。

これら加算は加算収入として病院や薬局の経営改善に寄与するだけでなく、病院の薬剤師が使用する抗悪性腫瘍薬の副作用などを患者へ提供し、薬局の薬剤師が在宅時の患者状態を確認し病院へフィードバックすることで、連携が強化され、より質の高い医療の提供が期待できます。

以上のように、病院で働く薬剤師と調剤薬局で働く薬剤師とでは、求められる役割やスキルが異なりますが、双方とも医薬品に対するスペシャリストであることに変わりはありません。令和2年度診療報酬改定では、病院薬剤師と薬局薬剤師の連携を評価する加算も新設され、今後ますますの連携強化が期待されます。