株式会社健康保険医療情報総合研究所

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隙間時間に読める!DPCデータの一言コラム
第1回 DPCデータの種類 その1

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2020.06.10

本連載は、DPCデータに関する基礎的な知識や活用方法を、隙間時間に読める程度のボリュームでお伝えするコラムです。

第1回はDPCデータの種類についてお伝えします。

まず、DPCデータとは、「データ提出加算」を算定している病院が国に提出している診療情報の全国統一データを指します。「データ提出加算」の算定は現在、様々な入院料の施設基準となっており、約5,000病院がDPCデータの作成と提出を行っています。

DPCデータは単一のデータ(ファイル)を指すわけではなく、複数のファイルで構成されており、現在は7種類のファイルが存在します。今回はその中で、様式1ファイル、EFファイル、Dファイル、様式4ファイルの4つをご紹介します。

様式1ファイル

様式1ファイルは「DPC版カルテ」や「DPC版退院サマリ」と呼ばれており、患者の基本情報や病名、手術、重症度指標が含まれます。新たに様式1ファイルを作り始める病院では、今まで収集してこなかった情報を集めるためのツールや仕組みづくりが必要です。

集計の視点では、患者数と平均在院日数が様々な切り口で集計できます。性別・郵便番号・入院経路・救急車搬送の有無・退院先・転帰・病名・術式名などを軸に患者数と平均在院日数を求めたい場合は様式1で十分です。

ただ、様式1ファイルには診療内容とお金の情報が含まれていないため、「診療プロセスの可視化」「クリニカルパスの適用率」「収入の把握」をする場合はEFファイルやDファイルを使用する必要があります。

EFファイル・Dファイル

内容はレセプト情報です。ファイル生成に必要な情報は医事会計システムの中に蓄積されているため、新たな情報収集は不要ですが、医事会計システムにファイル出力機能を追加する必要があります。

収入の集計・分析をする際、DPC請求病院はDファイルを、出来高請求病院はEFファイルを使用します。EFファイルには入院EFと外来EFがありますが、ここでは入院EFファイルに絞って話を進めます。なお、これらのファイルには保険請求分しか載っていないため、自費分も含めて分析をしたい場合は別ファイルと合わせて使う必要があります。

集計軸としては、実施年月、入院年月、入院経過日数、診療科、病棟があります。レセプト情報と言っても病名情報は載っていないため、疾患別に収入構造を把握したい場合は様式1ファイルと結合させます。

今までは収入分析や診療プロセスのベンチマークに使用されることが多い傾向がありましたが、2018年度診療報酬改定以降は、「重症度、医療・看護必要度」の基準該当割合を算出する際にも使用されるようになりました。

様式4ファイル

内容は「支払方法の情報」です。EFファイル、Dファイルと同じく生成に必要な情報は医事会計システムに存在しているため新たな情報収集は不要です。

様式4ファイルはこのファイル単体で集計・分析に使うことは稀です。一般的には様式1ファイルやEFファイルと結合させて使います。なぜでしょうか?

様式1ファイルには、自賠責や正常分娩など他の支払方法との併用や、歯科診療との組み合わせがある患者データが含まれることがあります。しかし、EFファイルやDファイルには自費の金額データは掲載されないため、患者別請求金額を算出すると、集計結果の中に請求金額が0円の患者データが紛れてしまいます。

そのような事象を防ぐために使用するのが様式4ファイルです。ファイル単体で集計するのではなく、分析対象患者を絞り込むために使うファイルと言えます。

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