株式会社健康保険医療情報総合研究所

Planning, Review and Research Institute for Social insurance and Medical program (abbr. PRRISM)

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コラム

DPC Bakery 開発者座談会 前編
開発秘話に迫ります!

COLUMN

2020.08.24

2020年4月1日にリリースされ、すでに多くの反響をいただいている「DPC Bakery」。PRRISMの各専門分野を活かせるような開発メンバーが企画段階から集められ、製品化された本システム。メンバーの全員が、「一般にイメージされるDPC分析システムとは一線を画す」と口をそろえます。
そこで今回は、「パン屋」を意味するユニークな製品名の由来やシステムコンセプト、今後の展望について、開発メンバーにたっぷりお話を聞いてみました。「DPC Bakery」に込められた熱い想い、焼き立てのパンの香りをイメージしながらお気軽にご賞味ください。

所属:コンサルティンググループ
主な仕事内容:DPC Bakeryの企画段階から関与し、設計思想を構築。その他、病院経営コンサルティング、DPCデータ分析等に従事。
好きなパン:🍞たまご焼きサンド🍞

所属:コンサルティンググループ
主な仕事内容:DPC Bakeryの分析・集計項目の仕様調整を担当。その他、重症度、医療・看護必要度の向上対策、ベンチマーク事業等に従事。
好きなパン:🍞アップルパイ🍞

所属:医療ITソリューションセンター
主な仕事内容:DPC Bakeryの開発コンセプトを汲んだシステム仕様設計・開発・サポートを担当。その他、医療経営管理支援システム(エルフ・ヒポクラテス)の導入・設定カスタマイズ・保守等に従事。
好きなパン:🍞蒸しパン🍞

本当に食べたいパン(分析)を、自由に作るために

――早速ですが、製品名の「Bakery」の由来について教えてください。DPCデータとパン屋、今一つピンとこないのですが…――

固定の分析メニューを持った製品ではなく、自由にデータを分析できるようDPCデータを扱いやすいファイル(中間データ)に変換するものにしてみたらどうだろうか、という発想から出発しました。発想時のコンセプトは【魚を提供するのではなく、釣りの仕方(どうやったら、目的に合った分析ができるのか)を伝えたい】からスタートしたんです。

実際この名残で、製品名が全く別の名前だった可能性もありましたよね。それこそ多様性に富んだネーミングがいくつも…(笑)

製品名決定に関しては、いろいろ候補がありましたからね。

いろいろな候補から何でこの製品名になったのか、それは企画書作成の時まで遡ります。当時、この企画のビジネスモデルとして、【パン生地生成器とパン焼き教室】を例に社内プレゼンを行ったのです。

唐突でわかりづらいですよね(笑)。
要は、ユーザが本当に食べたいパン(課題解決に向けた分析)は病院ごとに様々だと思うので、既製品のパン(規定の形の分析結果)しか作れないパッケージ型の分析ソフトではなく、パン生地生成器(扱いやすい中間データ)と、パンの焼き方のコツを教えられるような教室(データ分析に関する研修会のようなもの)があればいいよね、と考えたんです。

DPC Bakeryは、本当に食べたいパン(課題解決に向けた分析)を病院側で自由に作れるよう、そのパン生地(中間データ)を作ることを目指したんですよ。

そういった経緯もあり、社内関係者間では、通称「パン(生地生成器)」と呼ばれていました。誰が言い始めたかは今となっては不明です(笑)。
そして実際の画面開発でデモ版が仕上がった際、「DPC Bakery」と仮の製品名がつけられ、最終的に全員、「しっくりくるね」ということでこの製品名に落ち着きました。

――企画コンセプトとぴったりの比喩から、そのままネーミングしたんですね。画面も見ましたが、とてもマッチしていると思います。ところでこの「DPC Bakery」、おいしくパンを焼き上げるためにオススメの機能を教えてもらえないでしょうか――

…そうですね、質問の意図に反してしまい申し訳ないのですが…私は「オススメの機能」という言葉自体がピンときません。システム自体の機能はDPCデータを所定の位置にドラッグ&ドロップするだけで簡単に中間データを作成できる、というもので、その後は表計算ソフト等で各病院の状況にあわせた分析が行えます。すごくシンプルな製品なんです。

システム機能としては確かにそうです。DPC Bakeryのユーザコンテンツとして提供しているレシピ集(※)があるので、これを利用することによって、ユーザは固定の分析だけではなくいろいろな分析に着手できます。機能としてはシンプルですが、拡張性に優れていると思いますよ。
※DPC Bakeryサポートチームが作成したテーマごとの分析手法を説明した解説書のこと

その点を踏まえると、看護必要度関連や、疾病統計関連の業務上、定型報告や集計で必要とされるものについて、レシピを利用すると簡単に集計ができます。特にこれらの業務に手間をかけていた方々には大変オススメですね。

確かにそうですね。今後、レシピ集はどんどん増やしていく予定なので、ユーザの皆さんには期待していてほしいですね。

こちらから提供するのはもちろんですが、ユーザの要望もレシピ集として反映していきたいですね。定型で行いたい計算・集計、分析内容など、どんどんご意見いただければ。レシピ集で補えない内容は、システム側でも可能な限り仕様変更をかけていきたいです。シンプルな構成だからこそ、バージョンアップのスピードは素早く対応できると思います。

機能ではないですが、このDPC Bakeryを使用することで、分析に係る業務負荷軽減から院内の経営分析・改善まで、基本的なものからより高度なデータ分析・加工まで、担当者自らの手で段階的にできるようになる、そういう製品に仕上がっていると思っています。

壮大な構想だけれど目指すところはそこですね。
それと、デモをしていて感じるのが、例えばEFファイルの収入分析や、EFファイル+様式1で疾病ごと・経過日ごとの分析が可能なことを実演してみると、「こういった視点を今まで持っていなかった」、「DPCデータを利用してこういうことできるんですね」、といったお声を非常に多くいただきます。

また表計算ソフトを使用することに不安を感じられている方もいらっしゃいますが、オンラインデモを通じて「自分もこれならできそう」と思っていただけることがほとんどです(デモのリクエストお待ちしてます)。DPC Bakeryは分析業務が初めての方でも、あるいは長年経験されている方でも、自分の目的に合わせた使い方ができる、つまり製品機能だけに依存するだけではない自由な分析作業が可能です。レシピ集でのレクチャーやサポートも充実しているので、ぜひ活用していただきたいですね。

私も「今まで自分にはできないと思っていたことが簡単にできる」、「看護必要度の集計作業ばかりにとらわれていたけど、それ以外のところに目を向けることも大事なんですね」、「もっといろいろな分析を行うために表計算ソフトのスキルを向上させたほうがいいと感じた」、というご感想は本当にたくさんいただきますね。逆に、ボタン一つで分析結果そのものが出ないことに対して、意外にも不満の声はなかったです。

DPC Bakery 座談会後編に続きます。