株式会社健康保険医療情報総合研究所

Planning, Review and Research Institute for Social insurance and Medical program (abbr. PRRISM)

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ゼロから始めるDPCデータ活用⑤

COLUMN

2020.12.02

第5回 DPCデータを活用した重症度、医療・看護必要度の向上策

1.前回ご紹介したデータ加工の復習

前回は看護必要度分析のためのデータ加工まで説明しました。今回はその続編としてHファイルの加工データをもとにどのような分析が可能であるかをご紹介します。

2.病棟別・疾患別の評価状況を確認しましょう

前回作成したHファイルを加工した患者の評価情報に対し、様式1やDファイルにある病名、手術情報および診断群分類を組み合わせることで、病名別に看護必要度の評価状況を分析できるようになります。

VLOOKUP関数を使用して前回作成した加工データに病名を加えることでどのような症例が看護必要度の基準を満たす評価日の割合が高いかの集計も可能となります(上図参照)。

また、経過日をピボットテーブル軸にして症例別の看護必要度の日別推移を確認することも可能です(上図参照)。

このような分析を通じて、疾患と看護必要度の関係や疾患ごとに看護必要度と在院日数の関係を定量的に可視化できます。その結果、在院日数管理の具体的な取組課題や医療連携活動の方向性の具体化など院内での改善活動および院外での集患活動をより効果的にすることが期待できます。

3.看護必要度Ⅱの計算結果を使用した分析を行いましょう

看護必要度Ⅱとは看護必要度Ⅰ(看護師が各項目の評価をつける方式)のうちB項目を除いた各項目についてレセプトから評価する方式です。DPC対象病院や地域包括ケア病棟など、評価対象となる項目の多くが包括になってしまう病院では収入につながらないことから、対象の診療行為の入力がおろそかになりがちです。そのような病院では看護必要度Ⅱへの切替え時に本来の実態よりも必要度が低くなってしまっているケースがあります。

現場の実態を上図のような分析から調査、改善してみましょう。
評価項目別に確認した際に看護必要度Ⅰに比べて看護必要度Ⅱでの評価が低い場合にはその項目の看護必要度Ⅱで評価される診療行為が入力されていない可能性がありますので確認してみてください。なお、評価される診療行為は厚生労働省のウェブサイトよりマスタをダウンロードすることができます。

また、連続して評価がつく傾向にある評価項目も評価漏れが起きやすいポイントです。評価漏れを低減するために、上図のような取組みを行っている病院もあります。「入力漏れがないように」という意識を各病棟で持ち続けるために定期的に確認を行って現場の意識づけに役立てています。

2020年度の診療報酬改定で、許可病床が400床以上の病院において看護必要度Ⅱへと評価方法を切り替えることが義務付けられていますが、評価方式の切り替え準備にあたり本分析の視点を参考にしていただければ幸いです。

(産労総合研究所「病院羅針盤」掲載)

DPCデータ活用に初めて取り組まれる方は、DPCデータをExcelで扱いやすい形に変換するツール「DPC Bakery」のご利用をおすすめします。