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「病院がリフィル処方箋を上手に活用するために」【第5回】リフィル処方箋の未来と病院の対応方針を考えよう

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2023.11.09

令和4年度の診療報酬改定で話題になった「リフィル処方箋」ですが、どのようなものかご存じでしょうか?
本コラムでは自院の外来診療機能の見直しを検討されているご担当者さま向けに、リフィル処方の基礎知識や実務上の注意点などをおさらいしつつ、外来診療機能の見直しにリフィル処方をどう活かしていくかについて、全5回に分けて解説していきます。

前回は「リフィル処方箋を発行する際の実務上の注意点」について解説しました。

最終回となる第5回は「リフィル処方箋が広がった未来で、病院がやるべきこと」について解説します。

■リフィル処方箋の今後の展望
第1回のコラムでリフィル処方箋の普及は芳しくない状況である旨を述べましたが、国としてはさらなるリフィル処方の普及に力を入れていくことが見込まれています。既に医療DXの流れで電子処方箋においてもリフィル処方が活用される予定(2023年度内)となっています。

また、「薬剤師から処方医へリフィル処方箋への切り替え提案を評価する仕組みを検討すべき」という声も挙がっています(図D)。

(図D:財政制度分科会資料)

さらに、現在はリフィルの上限回数が3回となっていますが、この上限が引き上げされる、あるいはリフィル処方箋の有効期限が延長される可能性があります。
もし実現すると医師から薬剤師へ、調剤・投薬におけるタスクシフトがさらに進み、処方医と薬剤師の連携がますます重要になることが予想できます。

既にリフィル処方箋の導入が進んでいるカナダでは、リフィル処方箋の有効期限が6~12か月とされており、薬剤師と患者が相談しながら1回につき2~3か月分の薬が調剤される制度の前例があるようです。(図E参照)

(図E:中医協資料)

■今後病院がやるべきこと
リフィル処方箋を上手に活用するためには、病院は何をやるべきでしょうか。
システムの対応や院内の体制構築といったことが挙げられますが、筆者は外来機能の見直しをやるべきと考えます。
その理由は、国が地域完結型の医療体制の構築を目指していることにあります。

地域完結型の医療体制においては各医療機関の機能分化が求められます。
地域から期待される役割は専門病院や総合病院においてそれぞれ異なりますが、皆さんは自院が期待される役割を果たせているでしょうか。

少しでも答えに自信が持てない場合、自院の再診患者のうち、処方箋のみを希望して来院している患者がどれくらいの割合を占めているかをぜひ試算してみてください。
その数値は自院が目指す外来機能として妥当なものでしょうか。もし妥当でないと判断される場合、リフィル処方箋の積極的な活用は、皆さんの理想に近づく1つの手段となり得ます。

自院が診るべき患者に対して効率的に医療を提供していくために、リフィル処方箋の活用を積極的に検討してはいかがでしょうか。

弊社は、医療機関様の継続的な発展を通して、地域医療の充実、向上を目指しております。経営の意思決定や経営改善にお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。
前述の「再診患者のうち、薬飲み処方で来院している患者がどれくらいの割合を占めているか」の試算もご対応可能です。

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