株式会社健康保険医療情報総合研究所

Planning, Review and Research Institute for Social insurance and Medical program (abbr. PRRISM)

NEWS 
& COLUMNS

コラム

【全2回】リフィル処方箋に対応する時、薬局薬剤師が果たすべき役割とは?
【第2回 リフィル処方箋対応時に期待される薬局薬剤師の役割とは?】 

COLUMN

2023.10.24

第1回のコラムでは、「リフィル処方箋とは何か」「調剤時の対応ポイントはどこか」について振り返りました。
第2回は、患者さんの医療機関が安心してリフィル処方箋を活用するために、薬局薬剤師にどのような役割が求められているのか、筆者の経験も踏まえ考えていきます。
本コラムを通じて、患者さん対応時のポイント確認や、医療機関との連携意識の向上に生かしていただければ幸いです。

【リフィル処方箋対応時の薬局薬剤師の役割とは?】
第1回でも触れましたが、リフィル処方の期間中は通常の処方箋交付時に比べて医師の介入機会が減るため、薬局薬剤師により服薬状況や体調の変化を確認することが重要です。
特にリフィル処方2回目以降は、患者さんからしっかり情報を聞き出し、十分な服薬指導が求められます。また、リフィル処方箋は医師と薬剤師の適切な連携の下運用する必要があるため、得られた情報を医療機関へフィードバックし、情報連携を行うことも求められる役割です。

【患者さんへの対応ポイントは?】
患者さんにリフィル処方箋をより安心して活用してもらうためには、「かかりつけ薬剤師を推進する」ことと「バイタルサインを測定する」ことの2点がポイントとなります。

また、リフィル処方期間中は医師が患者さんの状態を確認する機会が減少します。そのため、必要に応じて薬剤師が患者さんの血圧や脈拍等のバイタルサインを測定し、医師へ情報提供できれば、より効果的な薬物治療が期待できます。「バイタルサインをとったことがない!」という場合は、全国で講習会等が開催されていますので、この機会に習得を検討してはいかがでしょうか?なお、患者さんの状態に異変や疑義が出た場合は、すみやかに状況を処方医に報告して指示を仰ぎましょう(薬剤師が「診断」することは医師法により禁じられています)。

【医療機関とはどのように連携をとるべき?】
国の調査によると、リフィル処方に関する服薬情報提供書(トレーシングポート)で最も提供してほしい情報としては病院・診療所ともに「患者の服薬情報」(それぞれ100%、40.0%)が最も多い結果でした。診療所では次いで「患者の状態(33.3%)」でした。(ともに令和4年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査結果報告書に基づき弊社集計)。
これらの結果により、リフィル処方する医師の立場からは「リフィル期間中の服薬情報や患者の状況を共有してほしい」というニーズが読み取れます。
このようなニーズの一方、リフィル処方箋が発行された患者さんに関する服薬情報を医療機関に対して提供したのはわずか4%にとどまっており(図表)、医療機関のニーズと薬局の対応にギャップが生まれるていることが示唆されます。
ギャップ解消のため、リフィル処方箋対応時は、患者さんの服薬状況やバイタルサイン等で得られた患者さんの状況について医療機関へ積極的に情報提供しましょう!
特に服薬状況に問題がなく、体調が安定している場合も、その旨を記載し情報共有するだけでも医師は安心しますので、薬剤師からの情報は非常に重要と考えられます。

・図表 保険薬局が、リフィル処方箋の患者に関して医師に服薬指導提供書を提供した経験

出典:中央社会保険医療協議会 診療報酬改定結果検証部会(第67回)資料より弊社作成

【今後の展望】
ここまで、薬局薬剤師がリフィル処方箋対応時に期待されていることについて見てきました。
コラムの最後に、今後リフィル処方箋がどのように発展していくか、展望を見ていきましょう。
令和5年5月29日付けの財政制度等審議会 財政制度分科会による建議の中に、リフィル処方箋に関する下記の提言が盛り込まれました。
■ 「リフィル処方箋の普及促進に向けて周知・広報を図るべき。併せて積極的な取組を行う保険者を各種インセンティブ措置により評価していくべき。」
■ 「薬剤師がリフィル処方箋への切替を処方医に提案することを評価する仕組みや、例えばOTC類似薬については、薬剤師の判断でリフィルに切り替えることを認めることなど検討すべき。」
これらの提言が実現された場合、今まで以上にリフィル処方箋を扱う機会が増えるとともに、薬剤師の役割と責任が拡大すると予想されます。
患者さんや医師が安心してリフィル処方箋を活用するためには、薬局薬剤師が今まで以上に職能を発揮することが不可欠です。今のうちからかかりつけ薬剤師の推進や医療機関との情報連携等に取り組んでおき、リフィル処方箋の普及後に備えましょう!

リフィル処方箋に限らず、令和6年度調剤報酬改定では様々な薬剤師業務へのテコ入れが予想されており、既に中央社会保険医療協議会(中医協)にて議論が始まっています。
改定に対応していくためには、中医協の動向や方向性をキャッチし、早めに準備や心構えをしておくことが大事です。
そこで、中医協での議論をまとめたセミナーを実施いたします!
お申し込みは、コチラから。