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2023.10.31
令和4年度の診療報酬改定で話題になった「リフィル処方箋」ですが、どのようなものかご存知でしょうか?
本コラムでは自院の外来診療機能の見直しを検討されているご担当者さま向けに、リフィル処方の基礎知識や実務上の注意点などおさらいしつつ、外来診療機能の見直しにリフィル処方をどう活かしていくかについて、全5回に分けて解説していきます。
前回は、リフィル処方の概要として、通常の処方箋との違いやリフィル処方箋の導入背景、普及状況について解説しました。
「医師の診察を受けなくても詰め替え分の処方を受けられる」とお伝えしたリフィル処方箋ですが、どのようなメリットがあるでしょうか。
第2回は、「リフィル処方箋のメリット・デメリット」について、患者・病院それぞれの視点から主なものを挙げながら確認していきましょう。
まずは患者のメリット・デメリットを見てみましょう。
■患者のメリット
・処方箋をもらうためだけの待ち時間がなくなる
・通院にかかる時間的負担や経済的負担が減らせる
・外出の機会が減ることで感染症に罹るリスクが減る可能性がある
・リフィル(詰め替え分)の受取が「調剤予定日の前後7日以内」となっているため、薬局へ行く日の自由度が高くなる(通常の処方箋の場合、有効日は処方箋交付日を含めた4日以内に限られる)
■患者のデメリット
・医師による診察機会が減り、症状の変化が見過ごされるリスクがある
・処方箋の保管が手間になる(なくした場合の再発行は保険適用外になります)
・医師と患者の関係が希薄化する可能性がある
続いて、病院のメリット・デメリットを見てみましょう。
■病院のメリット
・薬局との連携がより強くなる
・他の患者に対する診療時間が増える
・薬局薬剤師とのタスクシフトによって、医師の負担が軽減する
■病院のデメリット
・診療の間隔が空くので経過観察にリスクを感じやすい
・再診料などが減る
・医師と患者の関係が希薄化する可能性がある
来院患者の減少を強く懸念する病院にとっては収益面でのデメリットが強いと思われますが、一方で医師の働き方改革の推進や外来機能のスリム化を目指す病院にとっては大きなメリットを享受できそうです。
ここまで患者と病院の視点から、リフィル処方箋の主なメリット・デメリットを確認してきました。
筆者は、リフィル処方箋を上手に活用するためのポイントが、病院と薬局の連携にあると考えます。
それは、処方医と薬局薬剤師が連携し、地域で患者を診ていくことが重要になるからです。
処方箋を発行する医師の視点に立つと、最も避けたいデメリットは患者の症状悪化を見過ごしてしまうリスクだと考えられます。
症状が安定している場合に活用するリフィル処方箋とはいえ、患者の診療経過を確認しない期間が長くなることでリスクは生じ得ます。
そうなると、薬局薬剤師の役割はこれまで以上に重要性が高まり、処方時のヒアリングや服薬指導に加え、有事の際は患者に速やかな受診を促す必要がでてきます。
リフィル処方箋のデメリットを補った上で活用するためには、病院と薬局の連携体制の構築が大切なのです。その具体的な方法としては、服薬情報提供書(トレーシングレポート)を活用し、薬局からの積極的な情報提供を依頼する等が挙げられます。
以上、第2回「リフィル処方箋のメリット・デメリット」の解説はここまでとなります。
次回は「リフィル処方箋を発行する際の、算定上の注意点」について確認をしましょう。