株式会社健康保険医療情報総合研究所

Planning, Review and Research Institute for Social insurance and Medical program (abbr. PRRISM)

NEWS 
& COLUMNS

コラム

「病院がリフィル処方箋を上手に活用するために」【第3回】リフィル処方箋を発行する際の注意点とは?(算定編)

COLUMN

2023.11.02

令和4年度の診療報酬改定で話題になった「リフィル処方箋」ですが、どのようなもの中ご存じでしょうか?
本コラムでは自院の外来診療機能の見直しを検討されているご担当者さま向けに、リフィル処方の基礎知識や実務上の注意点などおさらいしつつ、外来診療機能の見直しにリフィル処方をどう活かしていくかについて、全5回に分けて解説していきます。

前回では、「リフィル処方箋のメリット・デメリット」について解説しました。

第3回は、「リフィル処方箋を発行する際の、算定上の注意点」について解説します。

リフィル処方箋を算定する際、病院・クリニック(処方箋発行側)はどんなことを気をつければ良いのか、確認をしていきましょう。


■算定要件は?(通常の処方箋との違いはある?)
 処方箋料の診療報酬は3種類に分かれており、以下の通りそれぞれ所定の点数が定められています。

F400 処方箋料
     1 向精神薬多剤投与を行った場合 28点
     2 1以外の場合の多剤投与又は向精神薬長期処方を行った場合 40点
     3 1及び2以外の場合 68点
保険薬局において調剤を受けるために処方箋を交付した場合に、交付1回につき処方箋料の算定ができます。
※薬剤の種類数や対象患者など特定の条件によって加算や減算がありますが、ここでは割愛します

リフィル処方箋と通常の処方箋の算定の違いには、長期投薬に係わる減算既定の適用有無が挙げられます。
この減算規定が適用されるのは以上に該当する病院が対象です。


上記に該当する病院において、処方箋1回の使用による投与期間が、30日以上の投薬を行った場合(一部除外薬剤あり)、27点(所定点数68点の40%)で算定しなければなりません。しかし、リフィル処方箋によって29日以内の投薬を行った場合、この減算規定は適用されなくなります。(図B)

(図B)

また、リフィル処方箋の有効期限については、調剤回数により変わります。
・1回目の調剤→交付日含めて4日以内(通常の処方箋と同様)
・2回目の調剤→調剤予定日の前後7日以内
・3回目の調剤→調剤予定日の前後7日以内

上記の有効期限内に調剤を受けなければ、処方箋は無効となります。
無効となった場合、次回の処方からは再度医師の診察を受け、処方箋の交付を受ける必要があります。

■対象患者はどんな患者像?
 第1回でも触れましたが、リフィル処方箋の対象患者は、「医師の処方により、薬剤師による服薬管理の下、一定期間内に処方箋の反復利用が可能である患者」(中医協資料より)と示されています。具体的には、薬の処方のみ来院する患者、定期処方によって症状が安定している患者が想定されます。

■施設基準はある?
 施設基準はありません。病院、診療所問わず、通常の処方箋料と同様に要件を満たせば算定が可能です。

■疑義解釈はある?
 厚生労働省から医科、調剤それぞれに、リフィル処方箋に関連する疑義解釈(Q&A)が公表されています。令和4年3月31日に通知された疑義解釈はこちらです。(厚労省サイトに移ります)

以上、第3回「リフィル処方箋を発行する際の、算定上の注意点」の解説はここまでとなります。

次回は「リフィル処方箋を発行する際の、実務上の注意点」について確認していきましょう。