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ゼロから始めるDPCデータ活用①

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2020.11.04

第1回 DPCデータは経営改善に役立つ情報の宝庫

本連載では、DPCデータを活用した可視化・原因分析・経営改善などの事例を全12回にわたって紹介します。「ゼロから始める」という連載名の通り、DPCデータ分析の未経験者の方に向けて基礎的な内容を解説していきます。

本連載を通して、データ提出加算の算定のためだけにDPCデータを作る日々を卒業し、DPCデータから付加価値を生み出すスキルを一緒に身に付けましょう。

 第1回は、①DPCデータ活用の現状、②データを集計・分析するための手段、③DPCデータの内容解説の3つのテーマについてお話しします。

1.DPCデータ活用の現状

2014年度診療報酬改定にて「データ提出加算の届出」が一般病棟7対1入院基本料の施設基準に組み入れられて以降、DPCデータ提出が必須となる入院料の対象は診療報酬改定の度に拡大し、DPCデータを提出する病院の数は2018年度時点で4,425病院[1]に至りました。

弊社のコンサルティンググループは、2014年からDPCデータ作成体制の院内整備の支援サービスを提供しており、大病院から中小規模の病院まで幅広くご支援してきました。また同時に、DPCデータやその他院内データ等の分析を軸とした経営改善コンサルティングも行っています。

我々がDPCデータ作成支援サービスとDPCデータを活用したコンサルティングを通して感じているのは、「データ提出加算の算定のためだけにDPCデータを作成していて、DPCデータの活用に着手できていない病院が多い」ということです。DPC請求を導入していない出来高請求病院においてはデータを活用する文化がまだ根付いていない印象を受けます。

出来高請求病院は中小規模の病院も多く、日々の業務に忙殺されデータ分析をしている時間がない(人がいない)という病院もあります。ただ、我々が接している病院職員の方からは「折角作ったDPCデータを何かに役立てたいが、何をすれば良いかわからない。」といった声も多く聞きます。

では、どうすればDPCデータを活用できるのでしょうか。
本連載を通して、一緒に学びを深めていきましょう。


[1] 厚生労働省 中医協資料(2019年11月22日)より

2.データを集計・分析するための手段

DPC請求を導入しているDPC対象病院と呼ばれる病院は、出来高請求病院と比べてDPCデータを経営改善等に活用している傾向があります。DPC対象病院の行っているデータ分析の手段としては、例えば以下が挙げられます。

①Microsoft ExcelやMicrosoft Accessを使用する
②BIツール[2]を使用する
③市販の分析パッケージソフトを使用する
④コンサルティング会社に依頼する

病床規模が大きく、データ分析を行う専門の部署や専従職員を置ける病院は、高額なBIツールや市販の分析ソフトを導入しても、投資額に見合う成果をあげられる可能性が高いでしょう。

一方で、中小規模の病院では、医事業務や診療情報管理業務の担当者が兼務でデータ分析を担当することが多く、折角導入したツールが宝の持ち腐れになってしまうリスクがあります。

そのため我々は、「DPCデータを何かに役立てたいが、何をすれば良いかわからない」といった職員の方に対しては、とにかくDPCデータをExcelで触ってみることをご提案しています。まずはExcelで開くことから始めましょう。


[2] 「Business Intelligence tool」の略で、データの加工や分析を通して、経営の迅速な意思決定に役立てるためのツールを指します。

3.DPCデータの内容とは?

DPCデータを触ってみるにあたり、まず内容を理解する必要があります。

DPCデータは現在6種類のファイルで構成されています。集計例として単一ファイルで集計できる指標を挙げました。

この他にも複数のファイルを組み合わせることで、さらに多様な視点からの集計や分析が可能です。

では、それぞれのファイル毎に特徴を見ていきましょう。

様式1ファイル

いわゆる「DPC版の簡易カルテ情報」です。患者属性や病名、手術、重症指標等の情報が含まれており、施設基準の取得や行政への報告のための簡単な統計資料を作る用途にも活用できます。

患者数や平均在院日数を集計する際には、様式1ファイルのみで概ねカバーできます。集計軸の例としては、性別・年齢階層別・郵便番号別・診療科別・入院経路別・予定救急別・救急車搬送の有無別・転帰別・退院先別・疾患別などが挙げられます。

様式4ファイル

「支払方法の情報」です。様式1ファイルには、自賠責や正常分娩など他の支払方法との併用や、歯科診療との組み合わせがある患者データが含まれることがあります。

しかし、EFファイルやDファイルには自費の金額データは掲載されないため、患者別請求金額を算出すると、集計結果の中に請求金額が0円の患者データが紛れてしまいます。そのような事象を防ぐために使用するのが様式4ファイルです。ファイル単体で集計するのではなく、分析対象患者を絞り込むために使います。

EFファイル(入院、外来)

「出来高レセプト情報」です。EFファイルは入院EFファイルと外来EFファイルに分かれています。DPCデータのうち外来情報を含んでいるファイルは現段階で外来EFファイルのみです。そのため、外来部門の患者動向や収入構造を把握する際には外来EFファイルを使用する必要があります。

EFファイルから集計できる指標としては、診療科別・月別の請求金額の推移が挙げられます。疾患別に請求金額を集計したい場合は、様式1ファイルの病名情報と紐づけて集計を行います。

活用例としては請求金額計算の他、診療プロセスの可視化にも使えます。例えば、狭心症の患者に対して入院何日目にPCIを行っているか、抗生剤を術後何日間投与しているか、といったことを把握できます。そのため、クリニカルパスの作成やブラッシュアップの参考情報として活用する病院も多く存在します。

また、2018年度診療報酬改定で新設された重症度、医療・看護必要度Ⅱの基準該当割合もEFファイルを使って計算可能です。

Dファイル

「DPCレセプト情報」と呼ばれる、DPC対象病院のみが作成しているファイルです。DPC対象病院が入院部門の収入構造を把握する際にはDファイルを使用します。

特徴は入院EFファイルと同じですが、診断群分類(DPCコード)の情報が含まれており、DPC対象病院がDPC別に何らかの集計をする際に有用なファイルです。

Hファイル

「重症度、医療・看護必要度の情報」です。評価項目別・評価日別に看護師等が評価したスコアが掲載されます。重症度、医療・看護必要度Ⅰの基準該当割合の計算が可能です。様式1ファイルの病名情報と組み合わせることで疾患別の基準該当割合を算出することもできます。

2020年度診療報酬改定にて、重症度、医療・看護必要度の評価項目や基準が変更されましたが、HファイルやEFファイルを使用すれば基準該当割合の変動シミュレーションも可能です。シミュレーションの話まで踏み込むとデータ活用のハードルが上がってしまいますが、DPCデータから経営の意思決定に資する示唆を得ることができる、という点はぜひ押さえていただきたいポイントです。

様式3ファイル

各病院が届出をしている入院料や加算を把握するためのファイルです。我々は分析に使用していないため解説は割愛します。

4.おわりに

今回はDPCデータが経営改善等に役立つ情報の宝庫であることを紹介しました。しかし、作成したデータが宝になるか、石ころになってしまうかはデータ作成段階で決まります。いくら高機能な分析ツールを導入し、高度な分析手法を身に着けたとしても、使用するデータの質が伴わなければ、導かれる分析結果も意味のないものになってしまいます。

是非とも、「データ提出さえできれば良い」という考えではなく、「活用するために」という視点で日々のデータ作成業務に取り組んでください。 第2回は、様式1ファイルを使ってどのような集計ができるのかを、実例を交えながら解説します。

DPCデータ活用に初めて取り組まれる方は、DPCデータをExcelで扱いやすい形に変換するツール「DPC Bakery」のご利用をおすすめします。

DPCデータは、そのままではExcelでは扱いづらいという印象を持たれる方がおおくいらっしゃいます。DPC Bakeryは、DPCデータを「分析に必要な項目に絞って」、「Excelで扱いやすい形・容量」に変換するためのツールです。

「ExcelでDPCデータを分析したい!」という方は、是非一度DPC Bakeryのデモをご依頼ください。

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