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看護師として押さえたい令和4年度診療報酬改定のポイント(第1回) 褥瘡対策の変更点~薬学的管理に関する事項及び栄養管理に関する事項について~

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2022.04.12

令和4年度診療報酬改定では、褥瘡対策を行う上で満たしておかなければならないルール(「褥瘡対策の基準」)に変更がみられました。褥瘡対策に関する診療計画書に関わる変更であるため、看護師としてぜひ押さえておきましょう!

新たな基準では「褥瘡対策の診療計画における薬学的管理に関する事項及び栄養管理に関する事項については、当該患者の状態に応じて記載すること」※1という要件が加わりました。これを受けて「診療計画書作成の負担が増えるのでは?!」と不安になられる方もいらっしゃるかと思います。本コラムでは褥瘡対策の改定について、疑義解釈等も踏まえてお伝えします。

薬学的管理に関する事項及び栄養管理に関する事項とは?

従来の褥瘡対策に関する診療計画書に「薬学的管理に関する事項」及び「栄養管理に関する事項」が追加されましたが、そもそもこれらの事項はどういったことを記載するものであったか、簡単におさらいしましょう。

「薬学的管理に関する事項」については、褥瘡の発生リスクに影響を与える可能性がある薬剤の使用の有無や、すでに褥瘡を有する場合に薬剤滞留の問題の有無について確認し、薬剤の適正使用や薬剤選択等の薬学的管理計画を記載します。

なお、薬剤滞留の問題とは、疑義解釈において「例えば、創の状態や外用薬の基剤特性の不適合等により、薬剤が創内に滞留維持できていないこと等が想定される。」※2となっています。

具体的なイメージとしては、高齢者で皮膚のたるみが強く、体位で創の形状が大きく変化し薬剤が効果的に創内に滞留維持できない場合や、創部の形状が複雑で薬剤の滞留維持が困難な場合などです。そのような場合は、有に該当します。

「栄養管理に関する事項」については、栄養評価(体重、身体所見や検査結果など)を行い、必要エネルギー量を考慮した食事や栄養剤の選択など栄養管理計画を記載します。

どのような場合に薬剤師や管理栄養士との連携が必要?

褥瘡予防・管理ガイドラインでは、褥瘡患者の薬学的介入について、外用薬や抗菌薬に関する選択等が示されており、褥瘡の発生予防及び発生後の全身管理の方法として、低栄養患者への介入や栄養補給方法等が示されています※3

厚生労働省が実施する入院医療等における実態調査の結果では、褥瘡対策チームを構成する職種として、薬剤師、管理栄養士、理学療法士等の参画がみられた※4ことから、今回入院患者に対する褥瘡対策の実施内容を明確化するために、薬学的管理や栄養管理の実施について記載が求められることとなりました。

薬学的管理に関する事項及び栄養管理に関する事項は、「必要に応じて、薬剤師又は管理栄養士と連携して、当該事項を記載すること」※1とされていますが、必要な場合とはどのような場合でしょうか。下記のようなケースを例に考えてみましょう。

①高齢者で緊急入院後にせん妄となり、せん妄の薬物治療後に活動性の低下が予測される場合
②感染を伴う持ち込み褥瘡がある場合
③るい痩が著明で自力の寝返りが困難である場合

①のような患者さんが入院された場合、せん妄の薬物治療における薬剤の適正使用や適正選択等が記載内容として挙げられます。②の場合には、感染コントロールのための薬剤選択や感染状態を考慮した栄養管理、③については必要エネルギー量や栄養摂取方法を考慮した栄養管理などが記載内容として挙げられます。

なお、皮膚褥瘡外用薬学会が、「「褥瘡対策」における「薬学的管理に関する事項」に関する当学会の見解22.04.01」を公表しています。薬学的管理計画の記載例も書かれていますので、ぜひご参考になさってください。

誰が記載すべき?

記載者については指定されていないため、薬剤師又は管理栄養士以外に、専任の医師、専任の看護師が記載することも想定されます。重要なことは、必要な場合に連携を図り計画に反映させることと考えます。

まとめ

■「薬学的管理に関する事項」は、褥瘡の発生リスクに影響を与える可能性がある薬剤や、褥瘡を有する場合の薬剤滞留の問題の有無について確認し、適正使用や薬剤選択等の薬学的管理計画を記載する。

■「栄養管理に関する事項」については、栄養評価(体重、身体所見や検査結果など)を行い、必要エネルギー量を考慮した食事や栄養剤の選択など栄養管理計画を記載する。

■褥瘡予防・管理ガイドラインで示されているような、薬学的介入や栄養管理を必要とする場合には、薬剤師又は管理栄養士と連携を図る必要がある。

■「薬学的管理に関する事項」及び「栄養管理に関する事項」については、記載者は指定されていないが、必要な場合に連携を図り計画に反映させることが重要である。

おわりに

薬剤師や管理栄養士の十分な配置が困難な施設様では、褥瘡対策における職種間の連携が取りにくいとの声もお聞きします。

しかしながら、看護師の皆様は連携が取りにくいといっても、より良いケアを行うために日頃から他職種に症例相談をされているかと思います。そういった連携すべてがカルテや患者説明などに反映されていないかもしれませんが、多くの施設様では病棟において褥瘡発生リスクの高い患者さんや管理困難な患者さんなどのケアで、すでに薬剤師や管理栄養士と連携されたことがあるのではないでしょうか。

今回の改定で記載事項が増え、たしかに負担は増すかもしれません。ですがその一方で、これまで行っていた連携を褥瘡対策に関する診療計画書へ明記することによって、提供する医療を明確にでき、患者さんやそのご家族側の安心にもつながるものと考えます。

ぜひ、この機会に連携しやすい時間帯や、短時間で連携できるような運用を検討することをお勧めします!

今回、令和4年度診療報酬改定のポイントとして褥瘡対策の変更点についてご紹介しました。施設内で周知する際に本コラムをぜひご活用ください。

また、5月10日~5月31日に、看護師向け褥瘡対策セミナー-褥瘡リスクアセスメントと予防について考えよう 基礎編-も開催いたします※5。新人研修(看護師、介護士等)などにぜひご活用ください!


※1 令和4年3月4日 保医発0304第2号 基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについてより。
※2 令和4年3月31日 事務連絡 疑義解釈資料の送付について(その1)より。
※3 褥瘡予防・管理ガイドライン(第4版)より。
※4 中央社旗保険医療協議会 総会(第493回) 総-1-2より。
※5 令和3年11月に開催したセミナーの内容を一部変更・更新したものとなります。