株式会社健康保険医療情報総合研究所

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データ提出加算とは? (第2弾)

COLUMN

2022.05.23

令和4年度診療報酬改定でも入院料の施設基準の届出要件として拡大された「データ提出加算」とはどのようなものでしょうか?
本コラムでは、連載コラム第1弾「データ提出加算とは?」の続編として、引き続きデータ提出加算の内容等について分かりやすくご紹介していきます。新たにデータ提出加算を届け出る医療機関の担当者様や、院内で引継を受けて新しく業務に関わる方などのご参考になれば幸いです!
 ※「データ提出加算ってそもそも何?」という方は、前編の第1弾からお読みください。
   https://www.prrism.com/newscolumns/4681/

データ提出加算を届け出るためには?

データ提出加算の施設基準は大きく分けて次の3つがあります。
  ①国が行う「DPC導入の影響評価に係る調査」に参加すること
  ②診療録管理体制加算(A207)の届け出をすること
  ③「コーディング委員会」を設置し、年2回以上開催すること
なかでも、①については、参加のタイミングが年4回に限定されているので注意が必要です。「経過措置終了までに間に合う機会はあと何回あるのか?」を確認のうえ、スケジュールを検討しましょう!

スケジュールの例

それでは、「DPC導入の影響評価に係る調査」への参加スケジュールがどのようなものか、実際に見ていきましょう。スケジュールを細かく分けると、次の4つのプロセスに分けられます。
  ①「様式40の5」を届け出る
  ②2ヶ月分の試行データを作成し、提出する
  ③合否連絡および事務連絡を受ける
  ④「様式40の7」を届け出る

図1:手上げからデータ提出開始までの流れ
※図中の日付は令和4年8月22日迄に様式40の5を届け出た場合の例になります。



続いて、4つのプロセスそれぞれについて少し深掘りしてみましょう。

①「様式40の5」を届け出る
まずは担当者2名を選出し「様式40の5」の届け出(以下および関連コラムにおいて「手上げ」という)を行います。手上げの機会は年に4回(5月、8月、11月、2月)に限定されています。令和4年度の手上げスケジュールは、別途、診療点数早見表等ご確認ください。

②2ヶ月分の試行データを作成し、提出する
2ヶ月分のDPCデータを「試行データ」として提出します。対象となるDPCデータや提出方法は、本コラムの「3.DPCデータの種類」以降で解説します。

③合否連絡および事務連絡を受ける
試行データの実績が認められると、「様式40の5」に記載した担当者宛てに、メールで「試行データについての合否連絡」が届き、合格した施設には「データ提出事務連絡」が来ます。

④「様式40の7」を届け出る
データ提出事務連絡を受けた医療機関は「様式40の7」を用いてデータ提出加算の届出が可能となりますので、当該様式で届け出を行います。
なお、データ提出加算の施設基準となる「診療録管理体制加算(A207)の届け出」および「コーディング委員会の設置」は、「様式40の7」届出時までに別途準備が必要です! ご留意ください。
図1のように、8月に手上げをした場合、「様式40の7」の届出は、最短で12月中旬以降となります。
2月手上げの場合は「様式40の7」の届出が翌年度となるため、データ提出加算を要件とする入院料について令和5年3月31日までの経過措置の期間中に対応する場合、令和4年の11月手上げが期限となります。届出が必要となる入院料については、第1弾の3でご紹介しています。
https://www.prrism.com/newscolumns/4681/

DPCデータの種類

DPCデータは、次の表のとおり、6種類のファイルがあります。基本的に全てのファイルを作成する必要がありますが、Hファイルについては、対象となる入院料が限定されています。

表:DPCデータの種類と概要
※DPC対象病院の場合は、さらに「Dファイル」(包括レセプト情報)を作成・提出します。

提出するデータに用いる「データ識別番号」とは?(匿名化について)

上で述べたDPCデータのうち、様式3を除くファイルは患者別に作成します。その際、院内で既に使用している患者IDに相当する、個人の識別子として、「データ識別番号」を設定することが求められます。
院内で既に使用している患者IDは、そのままデータ識別番号として提出してはいけないこととされており、院内で定めたルールで変換を行うのが一般的です。
院内で既に使用している患者IDを、上記のように別の番号に変換することをここでは「匿名化」とします。

DPCデータの作成・提出フロー

DPCデータの作成・提出フローについて、医事会計システムおよび弊社システム(様式1クリエイター、ID匿名化ツール「Anony-an」)を用いて作成する場合を例にしてご説明します。提出フローは次の4段階に分けられます。
  ①匿名化前の各ファイルを作成する
  ②匿名化を行う
  ③形式チェックを行い、提出用データを作成する
  ④提出用データを提出する

図2:DPCデータ(試行データ)の作成・提出フロー


各フローの内容を見てみましょう。

①匿名化前の各ファイルを作成する
様式1クリエイターおよび医事会計システムから、各種ファイルを出力します。
EFファイルは、医事会計システムから「Eファイル」と「Fファイル」が出力されるので、図2にある配布ソフト(以下、DPCデータ提出支援ツール)を用いて、EFファイルに統合します。

②匿名化を行う
ID匿名化ツール(Anony-an)を用いて、各ファイルの匿名化を行います。

③形式チェックを行い、提出用データを作成する
DPCデータ提出支援ツールを用いて、形式チェック(エラーチェック)を行います。入力の不備や、各ファイル間での矛盾があると、提出用のデータは生成されず、エラー情報が表示されます。エラーが無くなれば、提出用データが生成されます。

④提出用データを提出する
完成した提出用データを提出します。提出方法等も指定されているので、「DPC導入の影響評価に係る調査」実施説明資料をよく読んで対応しましょう。
調査実施説明資料は、インターネットで「DPC導入の影響評価に係る調査 実施説明資料」などのキーワードで検索してください。改訂があった際や年度ごとに新版が公開されますので、常に最新版をご確認ください。


各種DPCデータの作成システムや、運用上の注意点については、別のコラムでご紹介いたします。
是非ご覧ください!