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ゼロから始めるDPCデータ活用⑥

COLUMN

2020.12.09

第6回 様式1とEFファイルを使って診療プロセスを可視化する

1.診療プロセス分析の概要

本連載の第3回から第5回にかけてEF入院ファイル(以下、EFファイル)を用いた入院稼働額の集計や重症度、医療・看護必要度(以下、看護必要度)の評価や精緻化を紹介しました。(第3回第4回第5回

EFファイルにはいつどのような医科保険の診療行為をし、薬剤や診療材料を使用したのかが記録されているので、収入や看護必要度だけでなく症例単位で入院から退院までの診療の内容を時系列的に知ることができます。

さらに様式1を併せて用いることで、各症例を疾患、入院経路、および予定・救急医療入院別などに分類し、これらの分類単位で診療のプロセスを可視化し分析することが可能となります。

DPC対象病院では診断群分類ごとに診療プロセス分析を行い、クリニカルパスの作成等に活用している事例が多数ありますが、出来高請求病院においてもEFファイルと様式1を用いて医療の質の向上や効率化のために役立てることが可能です。

2.診療プロセス分析を行ってみましょう

EFファイルと様式1を使って、医療資源最多投入傷病名(以下、医療資源病名)が狭心症かつ予定入院の症例を例に以下の手順で診療プロセスの分析を行います。

今回ご紹介した診療プロセス分析では症例数を用いましたが、Fファイルには「明細点数・金額」や「行為回数」などの情報も含まれていますので、医療資源投入量という形で行うことも可能です。機会があればぜひお試しください。また、第3回で触れた「行為明細区分情報」を用いれば、診療行為がいわゆる「まるめ」となる特定入院料を算定している症例についても診療プロセスを可視化することもできます。

3.診療プロセス分析を行う上でのコツと留意点

診療プロセス分析を行う上での様式1の取扱いのコツと留意点を以下に挙げます。

① 様式1情報を様々な切り口でグルーピングする

様式1には多くの情報がありますので、ご紹介した切り口以外にもさまざまな切り口でグルーピングを行うことができます。様式1には年齢や性別などの属性情報、入院経路や他院からの紹介の有無などの入院に関する情報など様々な情報が含まれています。目的に応じて、これらの情報を使って症例をグルーピングしてみましょう。

同じ医療資源病名であっても、予定入院か緊急入院なのか、入院の目的が手術か検査・診断なのか、入院から退院までの診療プロセスは異なります。こうした情報で症例をグルーピングする事でより効果的な分析を行えるでしょう。

②データの精度を高める

診療プロセス分析を行う上では様式1のデータ精度も重要となります。しかしながら、出来高請求病院では、様式1の医療資源病名、副傷病や重症度等によって請求額が変わることがないので、現状は必ずしも厳密に入力されているとは限らないかもしれません。

しかし、各症例を病名や重症度などの情報でグルーピングをした場合、データ精度に問題があると症例を適切にグループ分けができず、診療プロセス分析が効果的に行えません。

データ提出加算を算定し始めて数年が経過している病院では、DPCデータを作成して提出するフェーズから、利活用するフェーズに移行する時期にありますので、データ作成時には今一度精度を意識していただきたいと思います。

4.おわりに

今回はEFファイルと様式1を活用した診療プロセス分析を紹介しました。分析はただ行うだけでなく、院内の関係者に対してアウトプットすることが重要です。関係者の反応を受け、試行錯誤しながら多様な視点で分析を行うことが、院内でのDPCデータ利活用の王道であると考えます。

次回はDPCデータを活用した収益増減要因の把握と収益増加策について紹介します。

(産労総合研究所「病院羅針盤」掲載)

DPCデータ活用に初めて取り組まれる方は、DPCデータをExcelで扱いやすい形に変換するツール「DPC Bakery」のご利用をおすすめします。