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2024.10.01
株式会社健康保険医療情報総合研究所
Planning, Review and Research Institute for Social insurance and Medical program (abbr. PRRISM)
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2024.04.09
本コラムでは、重症度、医療・看護必要度の各評価項目について、令和6年度の診療報酬改定に対応した評価項目についてご紹介します。
新人看護師の皆様、重症度、医療・看護必要度に馴染みがない看護師の皆様が学べるよう簡潔にご紹介いたします。どのような評価項目があり、どのような評価が必要か理解を深めていただければと思います!
令和6年度診療報酬改定でどのような変更がされたのか、ぜひご確認ください。
重症度、医療・看護必要度はA項目・B項目・C項目からなります。「A項目:モニタリング及び処置等」では、医学管理や処置等の実施状況を評価します。「B項目:患者の状況等」では、患者のADL状況や意識レベルを評価します。「C項目:手術等の医学的状況」では、点数が2万点以上の手術や検査の実施状況を評価します。
2年ごとに行われる診療報酬改定では、重症度、医療・看護必要度の評価項目は頻繁に議論されるポイントとなっています。令和6年度改定に向けた協議でも、なかなか意見がまとまらず、支払い側と診療側との議論が繰り返し行われておりました。
結果として令和6年度診療報酬改定では、B項目が急性期一般入院料1、特定機能病院入院基本料7対1および専門病院入院基本料7対1における評価指標から除かれました。また、A項目の「注射薬剤3種類以上の管理」において対象薬剤から静脈栄養に関する薬剤が除外されました。その他、「救急搬送後の入院」および「緊急に入院を必要とする状態」の評価日数が5日から2日に変更され、C項目の一部の項目の評価日数も実態を踏まえたものに見直しが行われました。
ここからは評価対象者や評価の各項目についてみていきましょう。重症度、医療・看護必要度を評価する場合、「誰が?」、「いつ?」、「どこで?」、「何を」、「どのような?」などの注意点があります。
よくある質問で、「手術室で行った処置や薬剤は含みますか?」などが聞かれることがあります。ABC項目は熟知している方でも、この共通項目を忘れられている場合もあります。ぜひ、再学習の機会としてご活用ください!
評価の対象者は、次に挙げる入院料を算定する患者となります:急性期一般入院基本料、7対1入院基本料、10 対1入院基本料、地域一般入院料1、総合入院体制加算、看護補助加算1、一般病棟看護必要度評価加算、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、地域包括医療病棟および地域包括ケア病棟入院料。
ABC項目は毎日評価する必要があります。なお、地域包括ケア病棟入院料・地域包括ケア入院医療管理料については、A項目とC項目のみの評価で、B項目の評価は不要です。(いつ評価するべきかについては、コラム5へ)
当該病棟内での評価を評価対象場所としています。当該病棟以外で実施された治療、処置、看護及び観察については、評価の対象場所に含めません。(※A項目の「放射線治療」とC項目の「手術等の医学的状況」については、当該医療機関内における治療を評価します。)
当該病棟で実施しなければならない処置や介助で、評価者となるのは当該病棟に所属する看護職員です(一部評価を薬剤師や理学療法士等が実施する場合は、病棟所属の有無は問われません)。また、A項目の評価では、医師が単独で処置等を行った後に、当該病棟の看護職員がこの処置等を確認し、実施記録を残す場合も評価に含めることは認められています。
評価は、院内研修を受けた者が行わなければなりません。医師、薬剤師、理学療法士等が一部の項目の評価を行う場合も同様の院内研修を受ける必要があります。
評価の判断は、「一般病棟用の重症度、医療・看護必要度に係る評価表 評価の手引き」にあるアセスメント共通事項、B項目共通事項及び項目ごとの選択肢の判断基準等に従って実施しなければなりません。
評価は、観察と記録に基づいて行い、当日の実施記録を記録しましょう。推測はしてはいけません。当日の実施記録がない場合は評価できないため、A項目では「なし」等の評価になります。B項目については、「患者の状態」が評価の根拠となることから、重複する記録を残す必要はありません。
A項目は医学管理や処置等の実施状況を評価します。この項目では1点、2点、3点の配点の項目に分かれます。「救急搬送後の入院」に該当する場合のみ、入院日含めて2日間評価可能です。
「注射薬剤3種類以上の管理」には除外される薬剤もあり、また初めて該当した日から7日が評価日数の上限となるため注意が必要です。
除外薬剤はこちら(311~334頁)(別紙7別表2)
A1:創傷処置(褥瘡の処置を除く)【1点】
A2:呼吸ケア(喀痰吸引のみの場合を除く)【1点】
A3:注射薬剤3種類以上の管理【1点】
A4:シリンジポンプの管理【1点】
A5:輸血や血液製剤の管理【2点】
A6:専門的な治療・処置【①、③、⑦、⑧、⑨、⑪のいずれか1つ以上該当した場合には3点、それ以外の項目のみに該当した場合は2点】
①抗悪性腫瘍材の使用(注射剤のみ)
②悪性腫瘍材の内服の管理
③麻薬の使用(注射剤のみ)
④麻薬の内服、貼付、坐剤の管理
⑤放射線治療
⑥免疫抑制剤の管理(注射剤のみ)
⑦昇圧剤の使用(注射剤のみ)
⑧抗不整脈剤の使用(注射剤のみ)
⑨抗血栓寒栓薬の持続点滴の使用
⑩ドレナージの管理
⑪無菌治療室での治療
※太字は3点の項目
A7:救急搬送後の入院(入院日を含む2日間)【2点】
B項目は、患者のADL状況や意識レベルを評価します。この項目では、患者の状態と介助の実施状況により点数が決定します。例えば、「移乗」「口腔清潔」「食事摂取」「衣服の着脱」では、介助を要する状態であっても評価日に介助を実施していなければ0点となります。また、医師の指示によって動作が制限されている場合は、各評価項目の「留意点」を参考に評価します。
B8:寝返り
B9:移乗
B10:口腔清潔
B11:食事摂取
B12:衣服の着脱
B13:診療・療養上の指示が通じる
B14:危険行動
C項目は、点数が2万点以上の手術や検査の実施状況を評価します。C項目では、手術当日から指定の日数まで評価可能です。評価はレセプト電算コードから評価する必要があります。
参考:対象レセプト電算コード (290~310頁)(別紙7別表1)
C15:開頭手術(11日間)
C16:開胸手術(9日間)
C17:開腹手術(6日間)
C18:骨の手術(10日間)
C19:胸腔鏡・腹腔鏡手術(4日間)
C20:全身麻酔・脊椎麻酔の手術(5日間)
C21:救命等に係る内科的治療(4日間)
①経皮的血管内治療
②経皮的心筋焼灼術等の治療
③侵襲的な消化器治療
C22:別に定める検査(2日間)
C23:別に定める手術(5日間)
参考:一般病棟用の評価票(令和6年度版)(274~334頁)
ここまで一般病棟用の評価項目について述べてきましたが、重症度、医療・看護必要度では、「特定集中治療室用」と「ハイケアユニット用」の評価票があります。
これまで救命救急入院料及び特定集中治療室管理料を算定する場合は「特定集中治療室用」で、ハイケアユニット入院医療管理料では「ハイケアユニット用」の評価票を使用しなければなりませんでしたが、令和4年度の改定で救命救急入院料1,3を算定する場合は「ハイケアユニット用」の評価票を用いることになりました。また、令和6年度の改定ではハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度にレセプト電算処理システム用コードを用いた評価が導入されました。
「一般病棟用」の評価票と大きく異なる点は、C項目がない点です。令和4年度の改定から「特定集中治療室用」の評価票からはB項目が基準の対象から外され、A項目のみでの評価に変更されました。
(特定集中治療室用の評価票はこちら(365~374頁)別紙17【令和6年度版】)
(ハイケアユニット用の評価票はこちら(375~409頁)別紙18【令和6年度版】)
診療報酬改定ごとに評価項目は変更されています。研修担当者が、自施設の研修のために、診療報酬改定でどのような項目が追加や変更が行われたかを把握するのは、時間や労力を要するかと思います。
本コラムの連載シリーズをご活用いただき、ぜひ自施設の研修へお役立てください!
その他、重症度、医療・看護必要度の知りたい内容については、下記コラム(全8回)をぜひご覧ください。
コラム1:重症度、医療・看護必要度とは?
コラム2:重症度、医療・看護必要度は何のため?
コラム3:重症度、医療・看護必要度は何を評価する? ※当ページ
コラム4:重症度、医療・看護必要度ⅠとⅡの違いは?
コラム5:重症度、医療・看護必要度はいつ評価する?
コラム6:重症度、医療・看護必要度は何点必要?何割必要?
コラム7:重症度、医療・看護必要度はどう変わってきた?
コラム8:病院全体で取り組む重症度、医療・看護必要度の精度向上